慢性期医療

日本は平均寿命で男性が世界第4位、女性1位と有数の長寿国ですが、世界中のだれも経験したことのないスピードで超高齢社会に進んでいる国でもあります。そんな未曾有の高齢化社会にあって、治療やリハビリテーションを通じて、いかに各自が自立して豊かな人生を全うできるかが、大きな課題となっています。

慢性期医療とは

慢性期医療とは、急性期医療(急な病変や病気のなり始めへの対応、処置)を終えた方、またはその後自宅等で療養中に症状が悪化した方に対し、継続的な治療やリハビリテーションなどを行い、健康な社会生活への復帰を促すものです。
しかし慢性期医療の役割は、日本社会の高齢化もあり、変化してきています。とくに高齢の方は加齢とともに臓器の機能や免疫力が低下しているため、病気にかかったときには、その病気のみではなく合併症を伴うことも多く、短期間では治らない場合があります。そのような社会を反映して、これからの慢性期医療には地域に密着し、様々な疾病にも対応できる広範囲な医療が求められています。

医療提供体制による分類

急性期医療

急性期医療

症状が急に現れる時期、病気になり始めの時期に対応した医療です。症状に応じて検査や処置を行い、手術をする場合もあります。
さらに急性期は1次救急(軽症)、2次救急(重症)、3次救急(重篤)に分けられ、例えば1次は診療所、クリニック等のかかりつけ医、2次・3次救急は大きな総合病院や救急病院などが担っています。

回復期医療

回復期医療

亜急性期医療とも呼ばれ、急性期を経過した方が在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供します。

慢性期医療

慢性期医療

慢性期とは、病状は比較的安定しているが、再発の予防や体力の維持を目指し、長期にわたる治療やリハビリテーションを続ける必要がある時期です。慢性期医療を提供する施設は、単に高齢者が暮らす施設とは異なり、病気の治療をし、リハビリテーションにより「自立支援」をする場である点が特徴です。

当院の慢性期医療

当院は医療療養病棟ですので、入院の可否については、医療の必要度を3段階で区別する医療区分と介護の必要性や自立度を3段階で区別する「ADL区分」を合わせた項目で評価を行っています。

医療区分による評価

医療区分 3 病症名 スモン
医療処置
  • 中心静脈栄養を実施している状態
  • 医師及び看護師により、常時、監視・管理を実施しておりかつ区分2に1項目以上該当する状態
  • 人工呼吸器を使用している状態
  • ドレーン法 又は胸腔若しくは腹腔の洗浄を実施している状態
  • 胸腹腔洗浄
  • 気管切開又は気管内挿管が行なわれておりかつ発熱がある状態
  • 気管内挿管のケア
  • 酸素療法を実施している状態(密度の高い治療を要する状態に限る)
  • 感染症の治療の必要性から隔離室での管理を実施している状態
医療区分 2 病症名 筋ジストロフィー ・多発性硬化症 ・筋萎縮性側索硬化症・パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病(ホーン・ヤール3以上、生活機能障害度Ⅱ又はⅢ))
医療処置
  • 肺炎に対する治療を実施している状態
  • 頻回の嘔吐に対する治療を実施している状態
  • 尿路感染症に対する治療を実施している状態
  • 経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養が行われており、かつ、発熱又は嘔吐を伴う状
  • 1日8回以上の喀痰吸引を実施している状態
  • 頻回の血糖検査を実施している状態など
医療区分 1 医療区分2・3に該当しない者

医療療養病棟は、主に医療区分 2、3の医療必要度の高い方をサポートしています。医療区分 1の患者さまは、介護療養病棟や老人保健施設などをご利用されています。