上部内視鏡検査(胃カメラ)
上部消化管内視鏡(胃カメラ)による検査で発見でき、切除や治療が可能な「咽喉頭から十二指腸まで」の消化器のがんで亡くなる方が、日本では毎年6万人前後いらっしゃいます。内視鏡検査で早期に発見すれば治るがんが、検査されないまま見過ごされているのです。
早期がんでは一般に症状がなく、自覚症状で発見される場合は進行している場合が多いため、内視鏡検査で早期発見することがとても大切です。
淳風会ではがんの早期発見や予防に取り組んでおり、特に当院では、専門のスタッフと最新の機器による「苦しさや痛みへの配慮した安心の内視鏡検査」で、少しでも多くの方にこれらのがんのリスクを回避していただけるよう努めています。
内視鏡検査で、胃がんの原因となるピロリ菌の判定・治療が可能です。
対象部位食道、胃、十二指腸など
上部消化管内視鏡検査は一般的に「胃カメラ」と言われてきたもので、内視鏡を鼻(経鼻内視鏡)または口(経口内視鏡)から挿入し、上部消化管(食道・胃・十二指腸)を一連の検査で観察します。そして、組織の一部をとって調べる「病理組織検査/生検*」を行います。現在当院では苦痛なく楽に検査をお受けいただけるよう「経鼻」でも挿入可能な細径内視鏡スコープを用いて検査を行なっております。
また当院では内視鏡検査で、胃がんの原因となるピロリ菌の判断が可能です。内視鏡センターでは消化管医療のエキスパートが診療と検査を担当しています。特にピロリ菌研究の分野で多くの実績を残しています(スタッフ紹介)。
ピロリ菌の診断と除菌治療は、胃がん予防において大きな役割を果たすと考えられています。また、除菌治療は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発防止に非常に有効です。健康診断や人間ドックでピロリ菌感染が疑われた方や、胃に症状や違和感がある方は、一日でも早い胃カメラによる検査をおすすめいたします。
*病理組織検査/生検について:当院では、消化管専用デジタル病理検査「パソネット」と契約しており、高解像度デジタルスキャナとインターネットを組み合わせることで、通常は10日以上かかっていた精度の高い病理検査結果を、数日でお伝えすることが可能になりました。パソネット
苦痛や経口検査による不快感が当たり前だった内視鏡は、今や経鼻検査が主流となり、苦痛やストレスの少ない検査へと変わろうとしています。そして、わたしたちが少しずつ変えていきます。
近年、検査機器の進歩や医療技術の発達、さらには検査環境の改善などにより、内視鏡検査は以前より苦痛や痛みが少なくなっています。少しでも多くの方に安心して内視鏡検査に足をお運びいただけるよう、日々向上に努めています。
また、新型コロナ感染の収束が見えない状態が続いていますが、当院では万全な感染予防対策を行い、安全で安心して内視鏡検査を受けていただけるようにしています。
当院ではこのような方が検査をされています。
- 苦しくない検査をご希望の方
- 専門医が検査します。
- 苦しくない細い内視鏡スコープを使用します。
- 経鼻検査を行っています。
- 鎮静薬の利用が可能です。
- 最新の機材を使用します。
- 淳風会健康管理センターで要精密検査の方で「ワンステップ」の検査をご希望の方
- 健康診断や人間ドックの胃部X線・ピロリ菌検査で異常があった方
- 胃や食道に不安のある方
- ピロリ菌感染が心配な方
- 検診をご希望の方
- バリウムが苦手な方
胃カメラでわかる主な疾患
- がん(胃・食道・十二指腸・咽頭)
- 逆流性食道炎
- 胃・十二指腸潰瘍 粘膜下腫瘍((胃・食道・十二指腸) 慢性胃炎(萎縮性胃炎) 急性胃炎 ピロリ菌感染 自己免疫性胃炎(A型胃炎) 胃アニサキス症
胃カメラのながれ
- 前日〜検査当日
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前日のお食事について
検査の前日の夕食はいつもより軽めにしていただき、アルコール類はお控えください。また、21時以降は何も食べないようにしてください。(お水やお茶は飲んでいただいても構いません。)
当日の朝は何も食べないでください。(お水・お茶は検査開始2時間前まではお飲みいただけます。)
当日朝の常用薬の服用に関しては、かかりつけ医にご確認の上、当センターにも事前にご相談ください。(高血圧のお薬、抗凝固薬など、注意が必要なお薬があります。)
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- 受 付
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一階受付から二階内視鏡センターにご案内
一階受付にて上部内視鏡検査(胃カメラ)でご来院の旨をお伝えいただきますと、案内スタッフが二階の内視鏡センターにご案内いたします。
内視鏡センターのロビーにてセンターのスタッフが諸々お手伝いいたします。そちらで本日のながれや必要事項を説明いたします。
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- 前処置
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消泡薬・粘液除去薬・鎮静薬など
胃内の泡と粘液を除去するために、消泡薬・粘液除去薬を服用していただき、鼻出血を予防するために、鼻の中に血管収縮薬を投与します。
また、必要に応じて鎮静薬の投与を行います。
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- 検査開始
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検査室にご案内〜検査
プライバシーが保たれたゆとりのあるスペースで熟練の医師が専門の看護師と検査を行います。(検査時間:5分~10分程度)
また、迅速ウレアーゼ検査によりピロリ菌陽性の場合など、その場で治療が可能な場合は同時に行います。
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- 医師より説明
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検査や処置の説明を医師から行います
検査後の説明は、検査室と同じフロアの広々とした診察室で落ち着いて検査医より行います。
当院では、内視鏡検査の際にピロリ菌感染が疑われる場合はあわせて迅速ウレアーゼ検査を行っており、即時に結果が分かります。そのままピロリ菌の除菌治療も可能です。
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- お会計・ご帰宅
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一階の会計にてご清算の後ご帰宅
これで全ての行程は終了です。気をつけてお帰りください。
なお、鎮静薬を使用された方で自家用車でお越しの方は、くれぐれもご自身では運転されないようご注意ください。(必ずご家族などお連れ様が運転してください。)
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上部内視鏡検査(胃カメラ)のながれについてはこちらの動画もご参照ください
経鼻挿入による上部消化管内視鏡検査の受け方
経口挿入による上部消化管内視鏡検査の受け方
胃がんとピロリ菌について
ほとんどの胃がんはピロリ菌に感染した胃炎から発生します。当院では内視鏡検査でピロリ菌感染状態を判断できる専門の医師が内視鏡を担当しており、検査当日その場で、感染の確定診断から除菌治療を行うことが可能です。
胃がんは大腸がんに次いで日本人に多いがんです。2018年の統計では、男性の約9人に1人、女性の約19人に1人が、一生のうちに胃がんと診断されています。 胃がんはかつて日本人のがんによる死亡数の第1位でしたが、近年、検査や治療の技術・精度が向上し、胃がんによる死亡率は減少傾向にあります。しかし、胃がんは早期の段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合もあります。特に症状がない場合でも定期的に検査を受け、がんやその他の病変をできるだけ早く見つけることが大切です。
その胃がんですが、ほとんどの場合ピロリ菌に感染した胃炎から発生します。
ピロリ菌は、衛生環境が良くなかった年代に幼少期を過ごした人が感染している場合が多く、現代では衛生環境が改善され、感染している人の数は低下しています。
しかし、幼少期に感染したまま今も生活されている人や、親などから口を介して感染している場合もあり、それらの方々は胃がんのリスクを抱えながら生活しているといえます。
ピロリ菌は現在、様々な検査を通して感染を判断でき、除菌治療が可能な細菌です。特に当院には内視鏡検査で即時に感染状態を判断できる医師が複数名いて、ピロリ菌の発見・治療には最良の環境の一つであるといえます。